積水ハウス 2027年1月期1Q決算:開発型ビジネスがけん引、米国戸建は赤字

投資分析

※この記事は会社が公表した資料を基にした個人の記録・分析であり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資の最終判断はご自身でお願いします。

積水ハウス(1928)が2026年6月4日に公表した、2027年1月期第1四半期(2026年2月~4月)の決算内容を読んだのでまとめていきます。全社では大幅増益ですが、米国戸建住宅だけを切り出すと、まだ立て直しの途中です。

決算概要

  • 売上高9,088億円(前年同期比1.7%増)、営業利益761億円(同26.2%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益584億円(同75.2%増)
  • マンションと都市再開発の物件引渡しが進み、開発型ビジネスの営業利益は346億円(同157.9%増)
  • 国際事業は営業損失42億円、米国戸建住宅の引渡戸数減少と利益率低下が重荷
  • 通期業績予想は据え置き、年間配当は15期連続増配となる145円を計画

決算の数字と背景

今回の主な連結業績は次の通りです。金額は億円未満を切り捨てて表示しています。

項目 2027年1月期1Q 前年同期 前年同期比
売上高 9,088億円 8,940億円 +1.7%
営業利益 761億円 602億円 +26.2%
経常利益 724億円 468億円 +54.9%
親会社株主に帰属する四半期純利益 584億円 333億円 +75.2%
1株当たり四半期純利益(EPS) 90.21円 51.49円 +75.2%

売上高の伸びは1.7%でしたが、売上から原価を差し引いた利益の割合である売上総利益率は、前年同期の20.1%から22.0%へ上がりました。営業利益は26.2%増え、第1四半期として売上高と親会社株主に帰属する四半期純利益は過去最高です。

今回の増益で一番目立つのは、開発型ビジネスです。マンション事業では「グラングリーン大阪 THE NORTH RESIDENCE」などの引渡しが進み、都市再開発事業では賃貸マンション5物件などを売却しています。開発型ビジネスの営業利益は前年同期より212億円増えました。

経常利益と親会社株主に帰属する四半期純利益の伸びは、営業利益よりさらに大きくなっています。出資先の利益を持分に応じて取り込む持分法投資利益がシンガポール事業で増え、円安による為替差益も発生しました。利息や為替差損益などを含む営業外収支は98億円改善しています。投資有価証券売却益も前年同期より82億円増えました。数字としては強いですね。ただ、為替や有価証券売却の押し上げが毎四半期続くとは考えにくいので注意です。

事業ごとの状況

2026年度から一部の事業区分(セグメント)が変わっています。以下の前年同期比は、積水ハウスが新しい区分に組み替えた数値との比較です。

ビジネスモデル 2027年1月期1Q売上高 前年同期比 2027年1月期1Q営業利益 前年同期比
請負型 2,998億円 △2.0% 243億円 △1.0%
ストック型 2,266億円 +3.5% 267億円 +11.7%
開発型 1,683億円 +36.5% 346億円 +157.9%
国際事業 2,206億円 △14.4% △42億円 前年同期は48億円の利益

ストック型・開発型:国内の安定と物件売却

ストック型は、建てた後の住宅を管理・改修する事業です。賃貸住宅管理事業は売上高1,851億円、営業利益222億円で、ともに増えました。2026年4月の入居率は98.5%です。空室期間の短縮や賃貸管理のデジタル化も利益率の改善につながったと説明しています。

リフォーム事業も増収増益でした。受注残高は前期末から24.8%増えて523億円となり、今後の売上につながる仕事を積み上げています。賃貸管理とリフォームは物件引渡しの時期に左右されにくいため、長期保有目的の私としては、この2事業の安定した伸びがいちばん安心できる部分でした。

開発型では、マンション事業の営業利益が158億円と前年同期の6倍を超え、都市再開発事業も96億円へ増えました。この2事業が全社の増益を押し上げています。ただし、マンションの引渡しや物件売却は四半期ごとの振れが大きい事業のため、次回以降もしっかり見ていきたいところです。

請負型:戸建住宅の減益と受注残の回復

請負型には、戸建住宅、賃貸・事業用建物、建築・土木が含まれます。全体では小幅な減収減益でした。

戸建住宅事業は売上高1,041億円、営業利益44億円で、前年同期比33.2%の減益です。前期の第2・第3四半期に受注残高が少なかったことが主な理由と説明されています。第1四半期末の受注残高は前期末比4.4%増の2,511億円まで戻りましたが、受注高は前年同期比2.9%減でした。

賃貸・事業用建物は増収増益、建築・土木は減収ながら増益でした。請負型を一括りにすると横ばいに見えますが、戸建住宅の弱さをほかの2事業が補っています。住宅ローン金利と建設コストが上がるなか、戸建住宅の受注残高が次回も増えるかが気になるところです。

国際事業:米国戸建住宅

国際事業は売上高2,206億円で14.4%減り、42億円の営業損失となりました。中心となる米国戸建住宅事業は売上高1,937億円、営業損失98億円です。引渡戸数は前年同期より593戸少ない2,176戸でした。

米国では住宅ローン金利の高止まりで買い手の様子見が続いています。資料では、完成済みまたは完成に近い建売住宅を中心に販売したため利益率が下がったと説明しています。

立て直し策は、受注後に建てるBTOへの移行です。BTOは購入者の注文を受けてから建築する方式で、会社説明では従来の建売住宅より売上総利益率が5ポイントほど高いそうです。BTO比率は、前年は10%程度でしたが20%を超えました。引渡しまで時間がかかるため、利益率への効果は第2四半期以降を見込んでいます。

今回の決算では、第1四半期の赤字は想定内で、計画より少し良い数字だったと説明しています。それでも、米国戸建住宅の通期営業利益計画は25億円です。ここから黒字へ戻せるかが、今回私がいちばん気になった点です。

業績見通しと進捗

2027年1月期の通期予想は、2026年3月に公表した計画から変更されませんでした。

項目 通期予想 1Q実績 進捗率
売上高 4兆3,530億円 9,088億円 20.9%
営業利益 3,500億円 761億円 21.7%
経常利益 3,140億円 724億円 23.1%
親会社株主に帰属する当期純利益 2,180億円 584億円 26.8%

純利益の進捗率は4分の1を上回りました。一方、開発型ビジネスは営業利益の通期計画700億円に対して第1四半期で346億円まで進み、国際事業は通期565億円の利益計画に対して42億円の赤字です。全社の進捗率だけを見ると、この大きな差を見落としてしまいます。

積水ハウスは、米国戸建住宅でBTO比率を高め、米国4社の統合後に重複する地域の人員・拠点をまとめる効果を第2四半期以降に見込んでいます。米国賃貸住宅開発では、今期売却予定の6物件のうち4物件で、計画を上回る条件の売却にめどが立っています。米国戸建の遅れをほかの事業で埋める構図ですが、まだ安心しきれません。

中東情勢に伴う一部住宅資材の値上がりも見込んでいます。第1四半期への影響はほぼなかったものの、通期では数十億円程度のコスト増を試算しているとのこと。販売価格へも反映していくのでしょうが、今期の利益率は少し苦しいかもしれません。

株主還元

2027年1月期の年間配当予想は145円で据え置かれました。中間72円、期末73円の計画です。前期実績の144円から1円増え、実現すれば15期連続の増配となります。予想配当性向は43.1%です。

第7次中期経営計画では、中期的な平均配当性向40%以上を続け、2026年度から2028年度の年間配当を145円以上とする方針を掲げています。利益成長を通じた増配と、機動的な自社株買い(自己株式取得)も目指すとしています。

積水ハウスの株主還元方針と1株当たり配当金の推移
第7次中期経営計画資料より

今期は純利益の減益予想ですが、配当は1円増やす計画です。増配幅は小さいものの、配当の下限が具体的に明記されたので、配当目的で長く持つ際の見通しは立てやすくなっています。

まとめ:国内の安定と米国戸建の回復を見分ける

今回の決算は、営業利益26.2%増、親会社株主に帰属する四半期純利益75.2%増の大幅増益でした。マンション引渡しや物件売却が増益に大きく寄与し、賃貸住宅管理とリフォームも堅調です。国内事業が米国戸建住宅の落ち込みを補った点は良かったと感じます。

ただし、全社の好調さの一方、米国の赤字は要注意です。次回決算では、米国戸建住宅のBTO比率、引渡戸数、売上総利益率を追います。国内では賃貸住宅管理の入居率とリフォームの受注残高が今の水準を保てるかも見ます。

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