この記事は会社が公表した決算資料を基にした個人の記録・分析です。特定銘柄の売買を推奨するものではありません。
決算概要
- 売上高4,165億円(前年同期比38.8%増)、営業利益803億円(同7.0%増)
- 不動産事業とホテル・旅館事業の増益が寄与
- 追加的なのれん償却51億円で、その他事業は赤字
- 通期利益予想・年間配当予想67円は据え置き、営業利益の進捗率は38.2%
- 決算説明会資料のハイライトには3件のM&Aも掲載。今後の事業ポートフォリオの変化にも注目したい
決算の数字と背景
グループ全体の業績は以下の通りで増収増益でした。なお、金額は百万円未満を切り捨てています。
| 項目 | 2026年12月期2Q累計 | 前年同期 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 416,596百万円 | 300,081百万円 | +38.8% |
| 営業利益 | 80,313百万円 | 75,055百万円 | +7.0% |
| 経常利益 | 70,861百万円 | 66,547百万円 | +6.4% |
| 親会社株主に帰属する中間純利益 | 49,978百万円 | 44,893百万円 | +11.3% |
| 1株当たり中間純利益(EPS) | 65.82円 | 59.06円 | +11.4% |
売上高は前年同期比38.8%増となりました。決算短信では、竣工・取得物件によるオフィスなどの賃貸収入が安定して推移したことに加え、販売用不動産の売上が順調だったと説明しています。営業利益、経常利益、最終利益も、いずれも前年同期を上回りました。
前回1Qとの比較:2Q単独では営業利益491億円
前回の1Q累計と今回の2Q累計を並べると、次のとおりです。2Q単独の列は、決算資料として開示された数値ではなく、私が差額を計算した参考値です。
| 項目 | 1Q累計 | 2Q累計 | 2Q単独(差額) |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 226,841百万円 | 416,596百万円 | 189,755百万円 |
| 営業利益 | 31,171百万円 | 80,313百万円 | 49,142百万円 |
| 経常利益 | 26,986百万円 | 70,861百万円 | 43,875百万円 |
| 親会社株主に帰属する利益 | 18,141百万円 | 49,978百万円 | 31,837百万円 |
| EPS | 23.89円 | 65.82円 | 41.93円 |
差額でみると、2Q単独では営業利益491億円、親会社株主に帰属する利益318億円を計上しています。半期累計の数字だけでは見えにくい、1Q以降の利益の積み上がりが確認できます。
ただし、これらは累計値の差額から算出した参考値です。不動産会社の四半期業績は物件の売却時期によって大きく変動します。会社は当中間期の業績を「概ね計画通り」とし、通期予想を据え置いています。2Q単独の数字だけで通期の利益水準を判断するのではなく、通期予想に対する進捗も見る必要があります。
事業ごとの状況
ここでは、事業ごとの区分である「セグメント」別に見ていきます。セグメント利益は各事業の利益であり、本社費用などを含む連結営業利益とは一致しません。また、セグメント売上高には、グループ内の取引も含まれます。
| セグメント | 2026年2Q累計 売上高 | 前年同期比 | 2026年2Q累計 利益 | 前年同期比 |
|---|---|---|---|---|
| 不動産事業 | 349,630百万円 | +35.9% | 87,253百万円 | +9.5% |
| 保険事業 | 2,058百万円 | +4.7% | 662百万円 | +18.9% |
| ホテル・旅館事業 | 31,579百万円 | +13.0% | 2,700百万円 | +1.8% |
| その他 | 39,389百万円 | +107.1% | △2,459百万円 | 赤字拡大 |
不動産事業:賃貸収入と販売用不動産の売上が増収に寄与
不動産事業の売上高は3,496億円、セグメント利益は872億円でした。
賃貸ポートフォリオの強化として、開発、建て替えによる賃料の強化を目指しており、上半期ではヒューリック神谷町ビルの一部、ヒューリック九段ビルの底地、札幌ネットワークセンターなどを取得、クオーツ心斎橋が竣工したということです。 決算説明会資料では開発・建て替え予定の物件も紹介されています。完成が楽しみです!
※「底地」は、建物が建つ土地を保有し、土地を借りる側から地代を受け取る権利を指します。
販売用不動産では、イーストネットビルディング、ザ・スクエアホテル銀座などを取得し、ヒューリックみなとみらい、ヒューリック府中タワーなどを売却したということです。物件の取得・竣工・売却は業績に影響しやすいため、次回以降も賃貸収入と物件売却の両方を見ていきます。
保険事業:増収増益
保険事業の売上高は20億円、セグメント利益は6億円で、ともに前年同期を上回りました。ヒューリック保険サービスは保険会社との代理店契約に基づき、法人・個人向けの保険商品を販売しています。決算短信では、既存の損害保険代理店の営業権取得を重点戦略とし、法人取引を中心に営業していると説明しています。
ホテル・旅館事業:宿泊単価上昇と新規開業が寄与
ホテル・旅館事業の売上高は315億円、セグメント利益は27億円で、ともに前年同期を上回りました。決算短信では、旺盛なインバウンド需要による宿泊単価の上昇と、新規開業した事業所の売上寄与を要因に挙げています。
ホテル・旅館事業は増益でしたが、セグメント利益は27億円で、不動産事業の872億円と比べると規模は小さくなっています。連結業績をみる際は、ホテル・旅館事業の改善に加え、不動産事業の賃貸収入と物件売却が利益に与える影響を確認します。
その他事業:連結子会社の寄与と追加的なのれん償却
その他事業の売上高は393億円と前年同期比で増えた一方、セグメント利益は24億円の赤字でした。鉱研工業とクックデリが2025年度から連結子会社となったことが売上に寄与しています。
一方、決算短信では、リソー教育グループの株価に応じた追加的なのれん償却51億円を計上したと説明しています。のれん償却とは、企業買収で生じた無形の価値を、会計上、一定期間にわたって費用として配分する処理です。この影響を除くその他事業のセグメント利益は26億円とされています。
決算説明会資料のハイライトには、3件のM&Aも掲載されていました。進学塾として有名な鉄緑会、バナナなどの青果の生産・流通をするファーマインドなど話題になっていましたよね。 中長期経営計画では、不動産事業をベースにしつつ、M&Aを活用して多様な成長事業を取り込む方針を示しています。不動産会社というイメージにとどまらず、幅広い事業に取り組んでいるのだと感じました。
業績見通しと進捗
今回、2026年12月期の通期利益予想の修正はありませんでした。
| 項目 | 通期予想 | 2Q累計実績 | 進捗率 |
|---|---|---|---|
| 営業利益 | 210,000百万円 | 80,313百万円 | 38.2% |
| 経常利益 | 185,000百万円 | 70,861百万円 | 38.3% |
| 親会社株主に帰属する当期純利益 | 121,000百万円 | 49,978百万円 | 41.3% |
なお、売上高については、販売用不動産の売買動向によって大きく変動し予測が難しいということで、通期予想が開示されていません。
進捗率は、2Q累計実績を通期予想で割った参考値です。物件の売却時期などで業績が動く可能性もあるため、次回は業績予想の修正の有無と、その前提を確認したいと思います。
株主還元
配当予想に修正はありませんでした。年間配当予想は1株67円で、前期の年間配当実績62円から5円の増配を予定しています。
ヒューリックは今の中長期経営計画(2026〜2036年)で、業績動向を踏まえた安定配当を基本方針としています。そのうえで、2029年にかけて配当性向を段階的に45%へ引き上げる目標を掲げています。今回の決算説明会資料でも、2026年12月期の配当性向は42.0%の予想と示されています。

出所:ヒューリック「2026年12月期第2四半期 決算説明会資料」10ページ「株価指標・株主還元」
図では上場以来18期連続の増配見込みが示されています。ぜひ今後も利益向上と増配を続けていってほしいですね!
まとめ:物件売却・賃貸の進捗と、その他事業の動きを確認したい
今回の2Q累計は、売上高・営業利益・経常利益・最終利益がいずれも前年同期を上回りました。不動産事業の賃貸収入と販売用不動産の売上、ホテル・旅館事業の需要が増収増益に寄与しています。
一方で、その他事業は追加的なのれん償却の影響により、セグメント赤字となっています。今後は、販売用不動産の売却・取得、賃貸収入の積み上がり、ホテル・旅館の需要、追加的なのれん償却を含むその他事業の利益に加え、M&Aで取り込む事業の収益への寄与も、通期予想が修正されるかどうかとあわせて確認していきます。

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